やかんです。

英米法の勉強です。いやー、掴みどころないですけどね。できる限り楽しんでいこうと思います。

東大生やかんのブログ
やかん

※内容は僕のパブリックメモです。

判例法理の展開

基本的に以下5つの判例の整理だと思われる。

  1. Winterbottom vs Wright
  2. Thomas vs Winchester
  3. MacPherson vs Buick Moter Co
  4. Henningsen vs Bloomfiled Motors, Inc
  5. Greenman vs Yuba Power Products, Inc

まず大枠を整理すると、

  1. Winterbottom vs Wright
    • 直接の契約関係にない当事者は損害を争えない。
  2. Thomas vs Winchester
    • 「通常の使用において破壊の道具である物」については、直接の契約関係にない当事者も損害を争うことができる。
  3. MacPherson vs Buick Moter Co
    • 「通常の使用において破壊の道具である物」じゃなくても、直接の契約関係にない当事者も損害を争うことができ、被告の過失が認められれば被告責任負う。
  4. Henningsen vs Bloomfield Motors, Inc
    • これはよくわからん。
  5. Greenman vs Yuba Power Products, Inc
    • 直接の契約関係にない当事者についても被告は無過失責任。

みたいな感じなんだけど、こうやってみると自分の理解の甘さが際立つな。。

Winterbottom vs Wright

1842年のイギリス。これについては百選88のNotesが端的にまとめてくれている(以下に示す文章は一部省略している)。

20世紀初動までの指導的先例では、製造業者は製品の欠陥について直接の契約相手に対してしか責任を負わないとされていた。これはイギリスの1842年の先例Winterbottom v. Wrightが示した法理で、契約関係の法理と呼ばれた。

もうちょっと踏み込むとpivity of contractとか登場するけど、これは置いといていいんじゃないかな。よくわからないし。

Thomas vs Winchester

1852年のNY。これも百選88が優秀。ありがたすぎるな。

この法分野における拠り所となる先例はThomas v. Winchester(1852)である。毒薬に誤ってラベルが貼られ、薬剤師に販売された。薬剤師はそれを顧客に売った。顧客はラベルを貼った販売者から損害賠償を得た。「被告の過失は人命を差し迫った危険にさらした」誤ってラベルが貼られている毒薬は誰であれそれを手に入れたものに被害を加えることになる。この危険が予見されるのであるから、侵害を回避する義務が存在する。

Thomas事件の法原則は、毒薬、爆発物、またはそれと同じ性質の物のように通常の使用において破壊の道具である物に限定されない。ある物の性質が、過失をもって作られると生命・身体に危険を及ぼすことが合理的に確かとなるようであれば、その物は危険なものである。

WInterbottomの時と違い、本件については直接の契約関係にない人の損害について損害賠償が認められている。これは、ゆるっと解釈すれば「製品自体がめっちゃ危険な場合、製造者はその安全性について注意義務を負うよ。だから、注意義務違反(つまり過失)が認められたら、製造者は責任を負うよ」ということだと思われる。

MacPherson vs Buick Moter Co

百選88事件。これについて、色々大事なことが言われている気がするが、骨子としてはThomas vs WInchesterと変わらない気がする。で、本事件の大事なところは、「『本質的に危険な製品』の概念が拡張した」という点ではないだろうか。

Henningsen vs Bloomfield Motors, Inc

これはあまり理解していないが、

  • 自動車製造者の過失をドライバーが立証するのは難しい(そもそも情報量少ない)
  • 自動車製造者については免責約款が定められていた

という状況下の話。

で、結論としては

  • 契約法の範囲内において、契約当事者関係がなくても責任を負い、またそれは免責不可能

という結論だと理解している。で、この判決には「過失(negligence)」が登場しない、という点も特筆すべき点なはず。過失は不法行為の文脈で登場する法理で、契約法の文脈では登場しない。「過失が登場しないのにどうやって理論を構成したの?」という点については、宣伝活動におけるimplied warrantyとかexpress warrantyとかを駆使したらしい(つまり契約法の理論体系)。

この判決は、

  • 製造物責任において不法行為の法理(過失)以外の理論(契約法)によって製造者に責任を認めた
  • 免責約款は認められない

という点に力点が置かれると思っている。「自動車は本質的に危険なもので、、」とかは関係していないと。「自動車は本質的に危険なもので、、」とかの議論に持ち込んでしまうと、被害者が製造者の過失を立証しなくてはいけないから、被害者の救済が十分に図られないと考えられる。common lawもやるやんって印象だ。

ただこれ、直接の契約関係が存在しない当事者間に対して契約法の法理を展開したわけか。契約当事者関係はないけど、保証責任を認めるよと。

Greenman vs Yuba Power Products, Inc

百選89事件。

ざっくり述べると、「欠陥のある製品を市場におき、それによって損害が生じた場合は製造者の無過失責任を認め」という趣旨のものと思われる。

それ以外のところ見ておくか。

基本的に不法行為法については上に見た判例の変遷を辿るのが重要だと思われるが、一応、過失と因果関係についても扱われている。

過失についてハンドの公式。因果関係についてはbut forテストとか、事実的因果関係(cause in fact)とか、causation(因果関係)とかのキーワード。あと、market share liability(割合的責任)もあったな。

でも、この辺は用語を押さえるだけで十分じゃないのかなあ。わからん。

まとめ

うーん、この流れについては改めてまとめがいがありそうだな。もっと理解深められるわ、間違いなく。今、だいぶお茶を濁している。

ということで、こちらのパブリックメモも以上。最後までお読みいただき、ありがとうございます。